2021-01-01から1年間の記事一覧

C・ジャーニー

遠い空からの声を聴いて無限の扉が生まれた (どーん どーんと地響きが鳴る) 湧き出す清流がごとく慈しみの心を、私はくべた 扉の鍵は閉まったままで杏の花が不格好に枯れた 枝についた柿は怯えた表情でこちらを見てる (どーん どーんと地響きが鳴る) コ…

失われた環

振り千のダイス プレゼント・デイズ 信頼の証 死んだ愛の証 君の鼓動はAメロ 破滅の才能はBメロ Can you freeze me? Can you kiss me? Can you kill me? 優しく終わりを告げて

明日も雨が降って、ぼくは寝たきり

口に手を当てて呼吸を止める ここにいていいとは思えない 精一杯のアベンジ 縋るように目を瞑る 誰も見えなくなる 耳ではトレンドのポップミュージックが流れている 何もわからなくなった 君、僕、あなた、わたし、世界、心、彼、彼女、金、愛、仕事、友達 …

ライト・イン・ザ・カーム

光で出来た鮒が一葉一葉に住み着いて群を作っていた 木々たちはそれを許し、彼らに餌を与えた 規則正しく列を成して泳ぐその魚たちはまるで押し引く波のように木々の中を縦横無尽に泳いでいる 凪の中にあっても魚たちはゆったりと泳いだ 私は光の中に釣り系…

I KOU

あなたが譲ってくれるのなら、わたしはそれでもよかった だれにでも等しくあるものじゃないから だからわたしは息を呑むように生きた だれかが私に譲ってくれるまで待った でもやっぱり誰も手放そうとはしてくれなくて それは本当に大切なもののようで わた…

gray

「逃げようよ」と彼に言った 彼は暗い夜の灰色をした瞳をこちらに向けて 「いやだよ」 と一言呟いた ぼくはもうこんなところに居たくなかったのに、彼はどうしても動いてはくれなかった 「ここは俺たちの聖域なんだ。だから俺は逃げない。逃げる必要がないか…

溢れる時雨

六月 風の匂いを感じる22時 ほんの少しだけ肌寒い夜に 缶ビールを飲みながら川沿いを歩く 公園では枯れかけたハルジオンと満開のアジサイが同居していて 出所不明の寂しさが唐突にやってくる それを振り払うように空き缶を投げ捨てた たばこを吸おうとしたけ…

世界の中心

幸福になれない人はそもそも幸福になろうとしてないとか幸福になる準備をしてないとはよく言うけど、実際その通りだと思った。 誰かの幸せを祈ったところで彼らは幸せになろうしていないからどうしようもない。 別に誰が悪いとかではないけど、そんなことを…

うみのそこで

恋人と別れた いろいろな要素を鑑みても悪いのは俺だろう あまりにも彼女に対して不誠実すぎたと思う 彼女は自分が人と付き合う資格なんてないって言ったことがあったけど、それは俺のほうだ。 不誠実っていうのは、彼女に黙って他の女と遊びにいくとかもそ…

余暇

人は人を救えない 何をしたって結局自分の足で立ち上がらないといけないらしい 俺は誰も救えなかったし誰も俺を救ってはくれなかった。 わかっていたつもりだったけど、心の底からマジに理解したのはつい最近のことだ。 仕事、恋愛、友達、金、家族、人生に…

悲しみと邪悪

登場人物 A男:小学校来の友達 幸せになって欲しい B子:メンヘラクソ女 報いを受けるべき C男:片親障害者 お前を救いたい D男:B子の元カレ いいやつ B子はクソ女で、男のとっかえひっかえを繰り返す女だ。同じゲーム仲間の中でも隙あらば他の男を狙っているよ…

後に

みんなは犯人さがしが好きみたいだ 誰かひとり悪者をつくらないとだめみたい 自分以外のせいにすればそれは楽だから みんな大人だから激しく罵ったり責め立てたりしない ただ自分の落ち度をわかりにくく押し付けてくる その役はいつも俺で まあもっとも、そ…

返礼

途方もない銀河を征くことだけが正義ではなく ドブを浚う生活にさえ尊厳はある 喪失を許容できる人間になることを許容してはいけない 悲しみを悲しみのままで消費してはいけない 交歓だけが人生ではないし 人生はそうそう終わらない せいぜい死なない程度に…

ホメオスタシス

まだ太陽が昇りきらない曇りの朝が好きだ。 見渡す限り白とグレーの中間のような色に満たされた空は、地面に反射してぼくと世界を一つに同化してしまったような気にさせる。そうした朝には、むなしさが襲ってくるけれど、何か心地よい感覚があるのも事実で、…

明日の献立は 入れ違いの鯛めしと うすらばかと 塩素処理をした彼女で 美味しくいただきます 感動的な再開は 均等な危機と 車に乗った 健常者にのみ こみ上げるものがある 最終電車はもう出ていった 静かなホームに 寸止めの気持ちが 責任感と共に 存在を示…