ライト・イン・ザ・カーム
光で出来た鮒が一葉一葉に住み着いて群を作っていた
木々たちはそれを許し、彼らに餌を与えた
規則正しく列を成して泳ぐその魚たちはまるで押し引く波のように木々の中を縦横無尽に泳いでいる
凪の中にあっても魚たちはゆったりと泳いだ
私は光の中に釣り系を垂らし、分厚い小説を読みながら針にかかるのを待った
日が落ちるにつれ魚たちの動きはゆっくりとなり、そして最後にはみな帰っていった
それは空だったか、それとも湖だったか
釣り針には光の鱗が付いていて、私はそれを栞にして小説に挟んだ
たくさんのスワンボートが走っている
カップルや楽器の練習に来た人たちがいる
奥のほうではスケートボードに乗る若者がいる
私の横にはタバコを吸うおじさまがいる
もしかしたらこの中で光の鱗に気付いたのは私だけなのかもしれないと思うと、なんだか嬉しくなって、私は駅にスキップしながら向かった