I KOU

 

あなたが譲ってくれるのなら、わたしはそれでもよかった

だれにでも等しくあるものじゃないから

 

だからわたしは息を呑むように生きた

だれかが私に譲ってくれるまで待った

 

でもやっぱり誰も手放そうとはしてくれなくて

それは本当に大切なもののようで

わたしはずっと羨ましがり続けた

 

1000年間ソレは手に入らなかった

最期には水と塩もなくなって

わたしはようやく重い腰をあげたのだった

 

わたし以外はみんなソレを持っているように見えた

だから、待つよりも奪ったほうが楽なことにようやく気付いた

道徳なんてソレの前ではまるで卵の殻みたいなものだと思った

 

わたしは奪って奪って

多くの者から奪い続けたけど

何一つ本当の意味で手に入れることはできなかった

 

奪う事も

待つことも

だれかからもらうことも

すべては遠い夢の幻想だった

 

 

与えることが唯一だ

時には水と塩以外も