瞳は未来に(心は過去に)

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素寒貧- impecuniosity-


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時に記憶は逆巻いて、/samayuzame

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誰かの大切な人になるにはどうすればいいんだろう

いつも失敗してきた

高校一年生のとき初めて彼女ができたけれど

そもそもその子のことがあまり好きではなかったぼくは一ヶ月ほどで彼女のことを振ってしまった

じゃあなんで付き合ったんだ?と思うかもしれないけど

周りの人間に「○○ちゃんはジユくんのことが好きらしいよ」と言われたので、それまで恋愛とほぼ無縁だったぼくは喜び勇んで「よし!初彼女だ!」と告白をした

実際のところ好きではない女と付き合うと自分の薄情さが浮き彫りになってしまって

その事実に耐えられなくなったぼくは

こんなどうでもいい人間のために俺の貴重な時間や金を費やすのは明らかに建設的じゃない!とか適当な理由をつけてサヨナラをした

 

その彼女はぼくたちが三年生になるまで事あるごとにぼくに復縁を迫ったのだけれど

ぼくはかなり心が揺り動かされていたくせに

「自分が振ったんだから今更やり直すなんてできない。それは誠実じゃない!」なんて粋がって、それを了承しようとしなかった

(その頃プレイしたホワイトアルバム2というゲームにかなり影響されていたのは内緒だ)


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誰かの大切な人間になるのは難しい

じゃあ恋人がいる人たちはどうやって「誰かの大切な人」になれたんだろうと考えてみると

それは真摯に生きているから、なんじゃないだろうか

それこそ誠実さが全てなのだ

ぼくが一時くだらねえと吐き捨てたあの誠実さが

 

ヒモの男だって誠実に生きている

女を財布だとしか思っていないようなのに、一体何に誠実に?

それはたぶん自分が楽に生きることに誠実だ

人間は、誠実な人間に惹かれる

平たくいうと、真剣に生きている人間だ

勉強、ゲーム、スポーツ、趣味、セックス、金儲け、事前活動、、、なんだっていい

ヒモたちは真剣に財布が逃げないような才能を培ってきたんだと思う

顔、セックス、口のうまさ、何一つ最初から手に入るものではないはずだ

 

一方ぼくにはなにがあるだろうか

適当に生きてきたぼくには何もない

半分くらい恋愛ジャンキーのくせに

抱え切れないほどの性的劣等感のみがぼくに巣食っている

努力もしなかった、誠実に生きてもいない

自分自身にさえ

 

そうすると何にも自信がないから何一つ成し遂げられないダメ人間が出来上がる

でも両親の教育だけはしっかりしていたから一通りのことは経験してきた

だから「何一つ成し遂げたことはないのに人よりもモノを経験した人間」となる

これは大変面倒な結果を生み出した

自分は自分のことをわかっている

完遂したことはないのに人より経験値が多い人間は、劣等感だけが肥大して周りを見下し始める

これは誠実さから最も遠い行いだ

そして、それに気づいたぼくはそれに輪をかけて劣等感を抱き、そこから先は無限のスパイラルだ

結局成し遂げられないという人間性は直っていないのだから


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本や映画や音楽が好きなぼくは世間一般の22歳よりも多くの言葉と表現に出会っていると思う

客観的にも主観的にもそう思う

これは自信過剰なんかじゃないはず

培われた感性たちはいろいろな角度からぼくを導こうとするけれど

なかなか一歩が踏み出せない

まあそういう人たちばかりだろうな、なんて思って結局足踏みだ

分厚い劣等感の鎖がガチガチにぼくを縛り付けている

そして魔法の言葉「めんどうくさい」

「めんどうくさい」の呪縛は強すぎて、ぼくの感性の根幹に王として君臨して手放してくれない

 

でも

もうぼくは

変わりたいんだ

 

何も成し遂げられない自分にはもう飽きた

自分すら自分を信じられない

そんな自分にはもう飽きたんだ

 

ぼくたちは五体満足で生きている

脳みそもまともだ

やろうと思えばなんでもできるってよく聞く

ぼくもそう思う

たぶん人の限界はそんなに天井が低いモノじゃない

 

やりたいことなんて恋愛とゲームと仕事くらいしかないけど、その三つが完璧充実したらそれは幸せな人生じゃないか?

 

まあ何が言いたいかって

あの子を振り向かせたい

彼女の大切な人になりたい

すべてはそこに集約する

ぼくが得てきたあらゆる感性を解放するべきときだ

 

幸福を

人生を

自分自身を

諦めちゃダメだ

 

自分だけは